リハビリテーション医学を学ぶ皆さんへ
新しくてユニークな切り口をもつリハビリテーション医学は、社会も医療もその発展を切望している医学です。しかし、その専門性を卒前の医学教育で十分に習うことは少なく、習得には一定の努力が必要です。是非、充実した研修を行って患者や社会に役立つ専門医になっていただきたいと願っています。
皆さんの研修に当たって、私たちは「教える」ではなく「学ぶ」を重視します。リハビリテーション医学は、練習(訓練)という「学習」が中心的課題となるユニークな方法論を医学に持ち込みました。学習の科学が教えてくれる要点は、受け身ではなく能動的な過程の重要性です。もちろん、それは「放任」を意味するものではなく、学ぶことに役立つ「周り」への十分な配慮を必要とします。
私たちは、「学ぶ」に必要な「周り」を丁寧に準備して、皆さんをお待ちしています。なぜなら、それがまた、私たち自身が「したいこと」を行う最善の方法であると知っているからです。一緒に学び、そして、共に素晴らしいリハビリテーション医学・医療を創りましょう。
1964年に設立された藤田学園は、1972年に医学部を開校、1987年に医学部リハビリテーション医学講座(現、 I 講座)を開設しました。そして、1995年、学内リハビリテーション関連部署が連携し藤田医科大学リハビリテーション部門が形成されました。2020年現在、学内12部署、医師110名を含む総勢672名からなる当部門は、国内最大の大学リハビリテーション組織として、年間に初診患者13,257人、延べ423,214人を治療し、多数の研究プロジェクトを動かし、国内外で528題の学術発表を行い、充実した卒前・大学院教育はもちろん多数の国内外研究者・臨床家を受け入れている活動的なリハビリテーション専門家集団です。
医学部には、リハビリテーション医学 I 講座(大学病院リハビリテーション科)とリハビリテーション医学 II 講座(七栗記念病院リハビリテーション科)の2つの正規講座、そして、寄付講座である連携リハビリテーション医学講座、ロボット技術活用地域リハビリテーション医学講座があり、それぞれが密接に連携しています。
藤田医科大学リハビリテーション部門の理念
OLPとCOSPIREという2つのキーワードを信条にしています。
OLP(overload principle):明日は今日よりすごい
リハビリテーション医学の基本的治療原理は、「活動が機能と構造を変える」という活動-機能-構造連関です。そのひとつに筋力増強のための過負荷の法則(overload principle)があります。患者さんにやってもらうことを自らにも課す。そして、今日救えなかった患者さんを明日は救いたいと願っています。
COSPIRE(the Clinical-Oriented System for Progression & Innovation of Rehabilitation Education):共に歩んで専門性を創る
COSPIREは、私たちが理学療法士・作業療法士の学科を創設した際につくった造語です。専門性は、先人の創り出した成果をよりよいものにして後進に伝えるという脈々と続く共同作業で生まれます。よりよいチームワークを実現し、皆で一緒に成長しましょう。