医師の教育の特徴

藤田医科大学の研修プログラムの特徴

藤田医科大学のリハビリテーション科専門研修プログラムは、活動という専門性をもって、傷病を深く理解し、症状や障害を正しく評価し、患者さんのニーズを的確に把握し、適切な包括的治療ができる優れたリハビリテーション科専門医となるために、豊かな人的・物的・情報的環境のもと、リハビリテーション医学の臨床を十分経験し深く学ぶシステムです。

1. 活動の臨床:考え抜いた専門性

リハビリテーション医学・医療は活動の臨床です。リハビリテーション医学の専門性が分かりにくいのは、その視線の方向が既存の臓器科と直交していて、さらに、既存の医学的枠組みから「理由があってはみ出している」ためでもあります。活動に注目した介入は、不動や廃用を防ぎ、ヒトの「生存」を守る治療手段となると同時に、活動関連の症状・問題を包括的に解決し、臓器系医療の成果を社会復帰へと繋ぐキーワードでもあります。私たちは、このユニークな活動という観点に必要な臨床を徹底して追求します。この姿勢は、学内外の多くの診療科から高い評価を受けるとともに、療法士、看護師、義肢装具士、などの一緒に働く専門家たちからも強い支持を得ています。

私たちは、数多くの実用的な臨床システムを開発してきました。2000年に開発した脳卒中回復期のFITプログラム(Full-time Integrated Treatment program)は今や回復期リハビリテーション病棟の優れた標準モデルになっています。また、データベース(Clover)を駆使した科学的カンファレンスの開催が効率的なチームワークを保証しています。急性期では、摂食嚥下回診システム、療法士病棟専従システムなどの新システムにより効果的リハビリテーション介入を実現しました。2013年にスタートした藤田医科大学地域包括ケア中核センターは、豊明団地でのまちかど保健室や学生・教員の団地内居住など先進的な取り組みに発展して注目されています。

活動というはっきりとしてぶれない臨床的切り口を前提として、急性期から生活期まで豊富な症例を、先進の診断・治療技術環境において、経験豊かで優れたメンターのもとに学ぶプログラムを提供します。プログラムに参加する関連施設は、長年の連携のもと互いにその特徴を十分に理解しあっている仲間です。プログラム全体が一貫性を持って体験できるように工夫されています。

急性期、回復期、生活期、そして大学のいずれでも優れた臨床家として活躍できる専門家になるために是非、私たちと一緒に体験し、学んでください。

2. チームワーク:しなやかな「小の如く大」の組織

1995年に60名弱であった藤田医科大学リハビリテーション部門は、2020年現在、総勢672名の大規模な専門家集団に成長しました。医学部、保健衛生学部、4つの大学病院、包括ケアというさまざまな部署にいるリハビリテーション専門家が一体となって部門を形成しています。私たちが年間に治療する延べ患者数は42万人を超えます。また、藤田リハは、61の国内臨床施設と連携し、22の海外大学・研究所と臨床や研究で協力関係にあります。

私たちが大規模を目指すのは、大組織でしか出来ないことが沢山あるからです。大組織の欠点を生じさせないために私たちはしなやかなチームワークを目指し、「active flat(小の如く大)」という考え方を基本方針として、運営上、種々の工夫をしています。多層のピラミッド構造は、個人が全体を見るのには不都合です。私たちは単なる組織の歯車になることを望みません。実質的な組織階層を4段以内に抑え、構成員全てが全体の動きを実感しながら活躍できるチームを目指しています。

リハビリテーション医療では、明るく精緻なチームワークが必須です。リハビリテーション科医にとって優れたチームワーク、リーダーシップの技術とその実践は必需品です。複雑な課題を習得するには「形から入る」のが基本です。そのためには、実際に中に入って学ぶのが一番です。しなやかなチームワークを学ぶことも研修プログラムの目的のひとつです。

チームとして、男女、既婚未婚など、それぞれの生活や思考様式に柔軟かつ配慮をもって対応することで、個々の人生にあった研修が行えるよう工夫しています。

3. カッティングエッジ:留まらない先進性、道具もシステムも必要なら創る

臨床は科学的であるべきで、科学は厳密な証明を是とします。けれども証明されたことは過去のものであり、科学には進歩というもう一つの本質があります。留まってはいられないのです。

実際、臨床はいつでも不完全です。臨床現場では不十分で捨て去りたいモデルが沢山あります。また、存在しないけれども欲しい道具や知りたいことが沢山あります。私たちは、研究と臨床は一体で切り離せないものだと考えています。昨日救えなかった患者さんを今日は救いたいし、今日救えない患者さんを明日は救おうと思っています。そのために研究します。

私たちの研究は、基本的に臨床研究です。特に、機器でもシステムでも新しく優れたものを作り出す開発研究をその中心に置いています。そのために多くの企業や外部の研究施設と共同での研究を行っています。そして、多くの成果が、国内はもちろん世界的に高く認められています。また、基礎科学系の他施設との連携も重要視しています。

研究プロジェクトには、新しい道具や知識を生み出すという直接的効果に加えて、新しいものを創り上げる方法を学ぶという重要な効果があります。心理学の用語でいう「メタ学習」、つまり、学習法を学習するという効果です。出来上がる前の不完全な姿とその解決過程のなかに自分を置くことで、「完成後にはすっかり覆い隠されてしまう舗装の下にある土台」を体感できます。これこそ、臨床力を磨く術を手にいれる重要な手段です。是非、研修中に、いくつかの研究プロジェクトに参加してください。より深く研究したい場合には、大学院を併願できるコースも準備してあります。当部門には、多数の優れた学位指導のメンターがいます。これまでにも多くの研修者が、専門医試験合格と学位取得を同時に達成してきました。

4. オープンネス:医局も国内も海外も

私たちはオープンです。進歩を望み、広く社会に貢献したいと願っています。進歩にも社会貢献にも、オープンネスが要になります。さまざまな人が持つ多様性が次の進歩の種となります。周りとの有益な情報のやり取りは社会の富を増やします。

当部門の医師の出身は多様です。おおよそ藤田医科大学卒が1/4、他の私立大学卒が1/4、そして、国公立大学卒が1/2です。また、入局時の経歴もさまざまで、新人のみならず他科からの転向者も多数在籍しています。医師以外の社会経験をもつものも少なからずいます。

学び、巣立っていった多くの先輩のネットワークが北海道から沖縄まで張り巡らされ、支えてくれる関連病院・施設が多数あります。これらの病院や施設では、当部門で学んだ医師、療法士など私たちの仲間が活躍し、また、後進の参加を心待ちにしてくれています。

いつも沢山の臨床家・研究者と交流しています。例えば2019年には、国内外の臨床家や研究者が77件見学に訪れ意見交換をしました。また、海外研修・留学生20名が在籍しました。海外との交流も盛んです。多数の海外の大学や組織と共同研究・研究者交流を行っています。国内外の施設への留学も推奨しています。米国、カナダ、ヨーロッパなどが主たる候補地です。

企業との連携も活発です。2020年現在、共同で開発研究を行っている企業は、トヨタ自動車株式会社、NTTグループ、キッセイコムテック株式会社、スピード株式会社、アスカ株式会社、東名ブレース株式会社、株式会社今仙技術研究所、株式会社エアウィーヴ、大和ハウス工業株式会社、ニュートリ株式会社など多数です。

学会・研究会活動にも積極的に関与しています。直近では、2019年には、日本での開催が22年ぶりとなる国際リハビリテーション医学会世界会議(ISPRM)を主催しました。また、2021年に世界嚥下サミット(World Dysphagia Summit)を名古屋で開催します。

研修会や研究会など情報発信も盛んです。常態的な公式の会だけで、藤田リハビリ研修会、七栗リハビリ研修会、2つの関連施設研修会、そして、愛知・三重がんリハビリ研修会、藤田リハADL講習会、動作解析実習研修会、摂食嚥下機能評価実習講習会、嚥下実習講習会、ポストポリオ検診、医学生と研修医向けのリハ体験セミナーなど、数多くの情報発信を行っています。

日常の生活のなかで、複数の組織を眺めること、学外・海外の臨床家・研究者を見ること、同じ目的を持ち違う環境で働く人たちと接することは、必ずや皆さんに専門性を学ぶための有力な糸口を与えてくれるでしょう。私たちと一緒にオープンネスを味わい、そして、身につけてください。

藤田医科大学リハビリテーション部門の専門研修プログラム

リハビリテーション医学 I 講座(大学病院,愛知県)とリハビリテーション医学 II 講座(七栗記念病院、三重県)が基幹施設となった専門研修プログラムを実施しています。また、両施設ともに国立長寿医療研究センター病院(愛知県)のプログラムに連携施設として参加しています。以下リンクの詳細ページを御覧ください。

I 講座

II 講座

国立長寿医療研究センター病院

 

 

教育の特徴

  1. はじめに

    リハビリテー…

  2. 医師の教育の特徴

    藤田医科大学の研修プログラム…

  3. I 講座の特徴

    藤田医科大学リハビリテーシ…

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    三重県リハビリテーション科…

  5. 療法士の教育の特徴

    超一流の療法士育成を目指す